中国の希土類磁石の対米輸出、10月に3カ月ぶりに増加

中国は10月に米国へ656トンの希土類磁石を輸出し、前年同月比4.5%増となった。これは3カ月ぶりの前年同月比増加であり、前月比では56.1%の増加となった。これは、10月末に予定されている米中首脳会談での合意に向けて、中国が希土類問題で譲歩する姿勢を示していることと合致する可能性がある。

中国税関総署のデータに基づき、中国の調査会社「鉄合金網」がまとめた統計によると、10月の中国の希土類磁石の輸出量は5,473トンで、前年同月比15.8%増加した。国別では、ドイツへの輸出が最も多く、55.9%増の1,118トンとなり、次いで米国となった。韓国向けは569トンで3位となり、前年比31.3%増となった。

米中交渉の膠着状態を受け、中国の希土類磁石の対米輸出は2024年には月間400トン以上だったが、2025年5月には46トンに減少すると予測されており、中国は米国に対し、中国製半導体に対する規制緩和を要請している。交渉の進展に伴い、対米輸出は7月に619トンまで回復したものの、8月と9月は再び減少した。米中首脳会談での合意確保のため、中国が再び輸出を増やしたとの見方もある。

10月の日本向け輸出は前年比30.2%増の226トンとなった。ただし、希土類磁石の半製品(磁性粉末や合金)を含めると、輸出量は前年比18.3%減の538トンとなった。

高市早苗首相による台湾問題に関する国会答弁を受け、中国は日本に対して経済的圧力をかけており、この状況が希土類元素(レアアース)産業にも波及するのではないかと懸念されている。

中国は世界の希土類元素生産量の70%、希土類磁石生産量の80%以上を占めている。中国は希土類元素を外交交渉の材料として利用している。希土類元素に詳しい専門家は、「真に必要な重希土類元素の米国と日本への輸出は依然として非常に限られている」と指摘する。