円は8カ月ぶりに下落し、1ドル=152円となった
10月7日、ニューヨーク外国為替市場で円は対ドルで152円まで下落し、2月中旬以来約8カ月ぶりの水準となった。高市早苗自民党総裁が推進する積極的財政政策と金融緩和政策への懸念から、投資家は円売りを続け、「高値取引」と呼ばれる現象を引き起こした。
円は対ユーロでも史上最安値を更新し、1ユーロ=177.10円と、1999年のユーロ創設以来の円安・ユーロ高水準となった。
高市総裁の経済顧問で、元内閣官房参与の本田悦朗氏は6日、ブルームバーグのインタビューで、「円が対ドルで150円を超えると、やや行き過ぎかもしれない」と述べた。これらの発言を受け、円は7日に一時150円台まで持ち直したものの、ニューヨーク市場では再び円売りが優勢となった。
円安が進行しているのは、日本の金融緩和が続くとの市場の見方が広がっているためだ。本田氏はインタビューで、日銀が10月29日と30日の金融政策決定会合で利上げを行うことは「難しい」と述べ、この見方に理解を示した。
高市氏は昨年の自民党総裁選の際、早くも「今、金利を上げるのは愚かな行為だ」と述べ、日銀の性急な利上げを抑制しようとしていた。10月4日の講演では、「(金融政策の)責任は政府にある」と改めて強調し、「日本経済は極めて危険な瀬戸際にある」と述べ、過度な金融引き締めに警戒感を示した。
米国市場では、高市総裁が日銀のオペレーションにどの程度関与しているかは依然として不明であるものの、金融政策に関する同総裁の基本的な考え方は変わっていないようだ、との見方も一部にある。
こうした懸念が市場で円売り圧力を根強く引き起こし、円安継続の主因となっている。