日産、九州のEVバッテリー工場建設計画を断念
日産自動車は9日、北九州市に電気自動車(EV)用電池工場を建設する計画を断念したと発表した。バッテリー工場はもともと日産の成長投資の柱の一つで、投資額は約1533億円と見込まれていた。しかし、北米や中国市場での業績不振により日産の事業は厳しい状況に陥っており、再建のためには成長投資を縮小する必要があると判断した。
日産のイヴァン・エスピノサ社長兼CEOは、この決定を報告するために福岡県庁を訪問した。日産は今年1月に福岡県、北九州市と工場立地協定を結んだが、わずか3カ月で破棄を余儀なくされた。
日産の平田貞治専務は同日、インタビューで「短期間でこのような変更となり、深くお詫び申し上げます。事業環境を見直し、慎重に検討した結果です」と謝罪した。福岡県の服部誠太郎知事は「3者間で立地協定を締結したばかりで、今後の事業の発展に大きな期待を寄せている。実現に至らず残念だ」と述べた。
日産は当初、低コストのリン酸鉄リチウム(LFP)電池を生産するために2025年に工場の建設を開始し、2028年までに軽電気自動車などに適用する計画だった。
同計画の投資額は約1533億円で、当初は日本の経済産業省から最大約557億円の補助金を受ける予定だった。プロジェクトの中止に伴い、日本の経済産業省は関連補助金を撤回すると発表した。
日産はかつてEVモデル「リーフ」で世界の純電気自動車市場をリードしていたが、現在は米テスラや中国の電気自動車大手BYDといった新興勢力にシェアを奪われている。
従来のバッテリーと比較して、LFP バッテリーはコストを約 30% 削減できます。 BYDもこのバッテリーを使用しており、EV事業の拡大には量産化が重要となる。日産が国内EV用バッテリー工場の計画を中止したことは、同社のEV事業に大きな影響を与えることになるだろう。
現在、日産は米国市場での新車販売が低迷しており、業績の低迷が続いている。日産は2024年11月、全世界の従業員の約7%にあたる約9,000人を解雇し、生産能力を20%削減するというリストラ計画を発表した。
今年4月に就任したエスピノサ新大統領のリーダーシップの下、復興のペースは加速している。同月末、同社は保有資産を大幅に削減し、2025年3月期の連結純損益が最大7500億円の赤字(前期は4266億円の黒字)に転落する見通しを発表した。