三井金属、半導体用熱膨張抑制材料を量産へ
三井金属は、最先端半導体向けに「熱収縮材料」の量産を2026~2027年に開始します。この材料は熱膨張を抑制します。NVIDIAなどのグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)に用いられるパッケージング材に組み込むことで、熱膨張を相殺し、半導体パッケージの割れや変形を防止します。この取り組みは、人工知能(AI)の進化に伴い急速に増加する半導体需要に対応することを目的としています。
半導体の高性能化には、個々のチップ内の回路の微細化だけでなく、基板上に複数のチップを集積することが求められています。高密度集積化によって半導体のサイズが増加する一方で、パッケージング材は熱による割れや変形が発生しやすくなります。最先端半導体の安定供給のためには、材料面での対策も不可欠です。
三井金属は、「負の熱膨張材料」と呼ばれる化合物を量産します。
この化合物をパッケージング材に組み込んで樹脂の熱膨張を抑制する技術はほぼ完成しており、現在、パッケージング材メーカーからの認証取得を待っています。順調に進めば、早ければ2026年にも福岡県大牟田市の工場で生産を開始する予定です。
これまで、半導体パッケージ業界では、球状シリカなどの「低熱膨張材料」が使用されてきました。しかし、球状シリカを混入してもパッケージはわずかに膨張してしまいます。
一方、三井金属の負熱膨張材料は、他社の材料に比べて約7倍の収縮率を実現しており、既存の低熱膨張材料の代替として有望です。さらに、パッケージに必要な絶縁性も備えています。