ドルの一方的な弱含みが再開した
2月11日、アジア外国為替市場では、円が対ドルで152.5~152.9円まで上昇し、1月29日以来約2週間で最大の円高・ドル安となった。
円以外の通貨に対しても、ドルは下落した。ユーロとスイスフランに対しては、2月10日に2週間ぶりの安値を付けた。ドル全体の価値を反映するドルインデックスも96台まで下落した。これは、米国当局が為替介入に備えて為替レートのチェックを実施したとの憶測が市場で広がり、ドル売りにつながった1月下旬以来の安値である。
しかし、2月11日(日本時間)に発表された1月の米国雇用統計で、非農業部門雇用者数が予想外の改善を示したことを受け、ドルは対円で反発し、1ドル=154.5~154.9円のレンジで推移しました。この日は日本の祝日だったため、国内取引主体の取引が少なく、為替レートのボラティリティが高まりました。
現在、高市早苗氏率いる自民党が衆議院選挙で圧勝したことを受け、市場では高市氏率いる自民党が財政規律を重視するのではないかとの思惑が広がっています。こうした思惑が円買い戻しを後押ししているものの、勢いは弱いとみられます。8日の選挙以降、為替レートの動向をみると、対ユーロや対スイスフランの円高は、対ドルの円高よりも緩やかに推移しています。現在の急速な円高(ドル安)の主因は、ドルの一方的な弱含みです。
ドル安が続いている背景には、米国経済の先行きに対する市場の懸念が根強いことが挙げられます。米国商務省が2月10日に発表した2025年12月の小売売上高(季節調整済み、速報値)は前月比横ばいで、市場予想(0.4%増)を下回りました。米国経済はさらに減速するとの見方や、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ回数を増やす可能性への懸念が広がり、ドル売りにつながっています。
報道によると、国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長は2月9日、「雇用統計は若干の減少を覚悟しておくべきかもしれない」と述べており、これもドル売りの圧力となっています。今回発表された1月の雇用統計は市場予想を上回ったものの、市場には楽観的な見方は少ないです。これは、2025年11月と12月の雇用統計が同時に下方修正されたためです。
現在、市場ではFRBが6月頃に利下げに踏み切る可能性が高いとの見方が主流となっています。さらに、「米経済指標の動向を踏まえると、春に利下げが行われる可能性は否定できない」(バークレイズ証券為替・債券調査部長の門田真一郎氏)との指摘もある。
米金利先物を用いて政策金利予想を予測する「FedWatch」のデータによると、2月11日午前時点で、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げが実施される確率は約19%と、前週の9%から上昇した。
ドル建て資産に対する市場の信頼感の揺らぎも、ドル売りの一因となっている。ブルームバーグは2月9日、中国政府が国内銀行に対し米国債保有量を調整するよう勧告したと報じた。ドル建て資産への過度な依存を減らすという世界的な潮流が加速しており、これがドル売りをさらに加速させているとの見方もある。
米国発の地政学リスクの高まりに加え、トランプ大統領の発言・行動もドル売りを促している。外為どっとコムのシニア為替アナリスト、神田卓也氏は、「『トランプ大統領のあらゆる行動はドル安につながる』という見方が広がり、市場は反射的にドルを売っている」と指摘する。
一方で、高市都知事率いる内閣の政策を背景に円安が進むとの見方は依然として根強く、円安ドル高の綱引きは短期的に続く可能性がある。多くの予測では、為替レートは159円台(米当局が通貨検査を実施した水準)から、その後の高値152円の間で推移すると予想されている。
高市早苗首相は3月19日に訪米し、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談する予定だ。市場では、日米関税交渉で合意された5,500億ドルの米国投資や、米国による日本への防衛費増額要求といった問題が両国間で協議される可能性があるとの見方が出ている。また、こうした動きが円安につながる可能性を指摘する声もある。
