トヨタ、レクサスを再定義
トヨタは、プレミアムカーブランド「レクサス」の戦略を見直しました。6輪電気自動車(EV)バンの導入により、開発の自由度を高め、先進性をアピールします。さらに、最高級モデル「センチュリー」を独立ブランド化し、「ウルトラプレミアム」セグメントへの進出を図ります。トヨタは、各ブランドのポジショニングを明確にし、世界のプレミアムカー市場における欧州メーカーの優位性に挑戦することを目指しています。
東京で開催された「ジャパンモビリティショー2025」において、トヨタはレクサスブランドの6輪電気自動車「LSコンセプト」を出展しました。LSは、1989年のレクサスブランド創設時に発売されたモデルです。このバンは、フラッグシッププレミアムセダンをミニバンへと変貌させ、ブランドの刷新を象徴しています。
LSバンは「ショーファーカー」として構想されており、電気自動車であることと燃料タンクがないことを強みに、車内空間を拡大しています。この車両は3列シート設計を採用し、2列目と3列目の間隔を広くすることで、3列目の乗員の乗降を容易にしています。
さらに、トヨタは、ステアリングホイールやペダルのない完全自動運転のシングルパーソンモビリティを構想した「LSマイクロコンセプト」を出展します。これらのコンセプトカーは、レクサスの将来の開発方向性を示すものです。
豊田章男会長は記者会見で、「『センチュリーブランド』を創設することを決定しました。日本の精神と『日本の誇り』を世界に発信するブランドに育てていきたいと考えています」と述べました。
今回のモビリティ展示会で、トヨタはセンチュリーブランドのオレンジ色のクーペを披露しました。トヨタブランドグループの頂点に位置付けられ、超高級車セグメントへの参入を目指しています。
現在、センチュリーブランドはセダンとSUVのモデルを提供しており、価格はそれぞれ2,008万円(約93万5,000人民元)、2,700万円(約125万7,000人民元)です。一方、世界的に有名な超高級車ブランドであるロールスロイスの電気自動車「スペクター」は、4,800万円(約223万5千元)という驚異的な価格で販売されており、センチュリーブランドとの価格差は歴然としています。
トヨタ幹部は「超高級車の世界に挑戦する」と述べ、富裕層をターゲットとした車種の展開を加速させていくと見込んでいます。
トヨタは、センチュリーを含む5ブランド体制への移行を進めています。これは、レクサスの複雑なポジショニングを背景にしています。
レクサスは当初、トヨタ車オーナーが高級車に乗り換える際の選択肢として、「トヨタブランドの延長」として構想されました。しかし、クラウンやアルファードといったトヨタブランドの高級車が増えるにつれ、差別化はますます難しくなってきています。
一方、センチュリーのような超高級車はさらに価格設定が難しくなるため、ブランド構築は「非常に困難」(トヨタ幹部)となる。
センチュリーをレクサスの上位に位置付けることで、それぞれのブランドの価格帯と役割を明確に定義できる。トヨタの専務取締役兼チーフブランドオフィサーであるサイモン・ハンフリーズ氏は同日、「センチュリーブランドを頂点に導くことで、レクサスは高級車市場の中心でより自由に発展していくことができる」と述べた。
もちろん、ブランドイメージの確立は容易ではない。レクサスが創業から世界販売台数50万台を超えるまでには、約20年を要した。センチュリーブランドの独立の成否は、レクサスの再定義の成否をも暗示することになるだろう。
