今治造船と住友重機械工業が共同で船体を建造
国内最大手の造船メーカーである今治造船と住友重機械工業は、船体建造で協業します。両社は、2026年に商船建造を停止する予定だった住友重機械工業の神奈川造船所をフル活用します。住友重機械工業は当初、同造船所を洋上風力発電設備の生産拠点として活用する計画でしたが、市況の悪化により、一時的に建造を再開します。米中対立の影響で、中国への造船受注が停止しており、日本のメーカーにとって好機となっています。今治造船は、投資コストを抑制しながら、建造量を拡大していきます。
今治造船などは、丸紅の支援を受け、ギリシャ船主から受注した大型石油タンカー2隻の船体建造を住友重機械工業の子会社である住友重機械マリンエンジニアリング横須賀造船所(神奈川県横須賀市)に委託する。1隻目は2027年、2隻目は2028年の竣工を予定している。
今治造船は建造に必要な鋼板や機関材を購入し、住友重機械マリンエンジニアリングに供給する。船体の大部分は横須賀造船所で製作され、最終組立は今治造船所が担当する。
住友重機械工業は2024年2月に新造船建造からの撤退を発表し、受注を停止した。横須賀造船所は当初、洋上風力発電インフラ整備および関連造船事業への移行を計画していた。
建造コストの高騰に伴い、洋上風力発電の事業環境は厳しさを増している。住友重機械工業は、人員効率を最適化するため、横須賀造船所での造船作業を一時的に継続することを決定しました。
世界の造船需要は堅調です。既存船の代替に加え、新型コロナウイルス感染症の終息後の海運市場の回復により、新造船の建造が急務となっています。世界の新規受注の7割は、建造コストの低い中国からの受注です。しかし、トランプ政権による中国製船舶に対する港湾規制の強化を受け、海運各社は中国メーカーへの受注を削減しています。
日本企業は、建造能力の不足という課題に直面しています。現在の受注残は、生産能力の約3年分に相当します。