中国、日本産牛肉の輸入再開

中国が日本産牛肉の輸入再開に動き出したことで、鹿児島県をはじめとする畜産が盛んな地域では期待が高まっている。中国は既に日本産水産物の輸入解禁に踏み切り、貿易再開の兆しも見え始めている。日本の農林水産物輸出拡大戦略は、トランプ政権の関税政策によって揺らぎを見せている。中国市場は大きな可能性を秘めているものの、日本の生産者の間には依然として慎重な姿勢が続いている。

「畜産の集積地である鹿児島にとって、これは大変喜ばしいことです。中国に関する問い合わせが数多く寄せられています」と、牛肉・豚肉生産会社カミチク(鹿児島市)の上村昌平社長は述べた。

中国は、日本で狂牛病(BSE)が発生した2001年以降、日本産牛肉の輸入を停止している。もし再開されれば、24年ぶりとなる。中国への牛肉輸出経験のないカミチクは、「中国は未知の市場であり、大きな可能性を感じている」と述べている。鹿児島県の農林水産物輸出額は、2024年度に前年度比28%増の470億5200万円となり、4年連続で過去最高を更新した。2025年度には500億円の輸出を目指しており、輸出額の3割以上を占める牛肉を戦略の中核に据えている。

鹿児島県畜産振興課の神山勝之氏は、人口減少が急速に進む中、「輸出拡大は国内の需給調整と価格維持につながる」と指摘する。県は、生産量に占める輸出比率(骨なし肉ベース)は10%未満と低く、改善の余地があるとみている。

産地の発展を維持するため、政府は農林水産物の輸出促進に取り組んでいる。牛肉は主要産品であり、2030年までに輸出額を2024年比7割増の1,132億円に増やすことを目標としています。

外務省は7月11日、日本産牛肉の中国への輸出再開の前提条件となる日中家畜衛生検疫協定が発効したと発表しました。両国は2019年に協定に署名しましたが、中国側の手続きは長らく遅延していました。今後、日本は牛肉の輸出に向け、安全性の確認などを含め、中国側と協議を重ねていく予定です。

独立行政法人日本農畜産業振興機構のデータによると、中国の2024年の牛肉消費量は1066万トンと、2021年比14.5%増の見込みだ。また、中国の2024年の牛肉輸入量は287万トンに達し、2023年度の日本の生産量(骨なし肉ベースで35万トン)を大きく上回る見込みだ。

肉用牛生産量で全国4位の熊本県からも期待は高まっている。熊本県は、熊本と上海を結ぶ定期航空便を開設した。これは同県にとって中国への初の直行便となる。木村隆知事は「情報収集を行いながら、(輸出再開の)機会を捉えていきたい」と述べた。

2019年以降、中国側の手続きが遅れているため、日本の生産者からは慎重な声も聞かれる。カミチクの上村社長は、「認証や畜産農家の状況など、輸出に関わる様々な条件が依然として不透明であり、大きな課題となっている」と述べた。

日本の水産業は既に中国との貿易再開の兆しを見せている。中国は6月下旬、原子力発電所の処理水の海洋放出を受けて、10県を除く全ての都道府県からの日本産水産物の輸入制限を解除すると発表した。また、中国は7月までにホタテを含む輸入許可品目リストを発表した。

岩手県の辰馬益拓知事も、「輸出再開の知らせを待ち望んでいた。岩手県の水産物輸出が一日も早く再開されるよう尽力する」と述べた。岩手県は、高級食材であるアワビを主に香港経由で中国本土に輸出しており、輸出量と価格の回復を目指している。

米国は2024年までに日本の農林水産物・食品の最大の輸出先になると予測されています。しかし、トランプ政権の関税政策により、米国市場の透明性は低下しています。中国の存在感が高まる一方で、貿易リスクも存在します。