EUとカナダ、米国の鉄鋼・アルミニウム輸入関税を非難
5月30日、トランプ米大統領は、6月4日から米国からの鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を現行の25%から50%に引き上げると発表した。
欧州委員会の報道官は、この措置に強い遺憾の意を表し、EUは対抗措置を講じる用意があると述べた。カナダの業界も強い反対を表明し、鉄鋼とアルミニウムの越境サプライチェーンの混乱はカナダと米国双方に甚大な損失をもたらすと強調した。
トランプ氏は5月30日午後、アメリカン・スチール・カンパニーで行われた集会で、国内鉄鋼業界を保護するため、米国からの鉄鋼輸入関税を現行の25%から50%に引き上げると述べた。また、外国企業は現行の25%の鉄鋼関税にはある程度対応できるものの、関税が50%に引き上げられた後は対応が困難になると述べた。
その後、トランプ大統領はソーシャルメディア「リアルソーシャル」に、6月4日から鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を25%から50%に引き上げると投稿した。
米国は3月12日から、すべての鉄鋼とアルミニウムの輸入に25%の関税を課している。この政策は、カナダや欧州連合(EU)などの貿易相手国から批判と報復を受けている。
米国国際貿易委員会(ITC)のデータによると、米国は2024年に1473億ドル相当の鉄鋼・アルミニウム製品を輸入した。データによると、カナダ、メキシコなどが主な輸入国となっている。
EU:対抗措置へ
欧州委員会の報道官は5月31日、新華社通信の記者に対し電子メールで、米国による関税引き上げの発表を強く遺憾に思うと述べた。
報道官は、米国の決定は世界経済の不確実性を高め、大西洋両岸の消費者と企業のコストを増大させるとともに、交渉による解決に向けた努力を阻害していると述べた。
報道官はまた、EUは米国の最新の関税引き上げへの対応を含め、対抗措置を講じる用意があると述べた。双方が受け入れ可能な計画に至らなかった場合、EUの既存および追加措置は7月14日に発効する。関連措置が早期に発効する可能性も排除されていない。
カナダ産業界:米国の決定は壊滅的な危機をもたらす
カナダのメディアは5月30日、カナダ産業界がトランプ大統領の鉄鋼・アルミニウム関税倍増計画に強く反対していると報じた。
カナダ労働会議のベア・ブラスク議長は、米国政府の計画はカナダの労働者に対する新たな直接的な攻撃であり、その無謀な動きはカナダ経済に衝撃を与えるだろうと述べた。
「トランプ大統領の決定は、カナダを米国市場から完全に締め出し、カナダの鉄鋼・アルミニウム産業に壊滅的な危機をもたらし、数千人のカナダ人労働者の雇用を脅かすことになるだろう」とブルスク氏は述べた。
ブルスク氏は、カナダ政府に対し、雇用保険と賃金補助金の緊急改革の実施を含む、労働者保護のための即時措置を講じるよう求めた。
カナダ商工会議所のキャンディス・レーン会頭兼CEOは声明で、国境を越えた鉄鋼・アルミニウムのサプライチェーンの混乱はカナダと米国両国に甚大な損失をもたらし、鉄鋼・アルミニウムの関税を50%に倍増することは北米の経済安全保障に反すると述べた。