ソニーの営業利益は過去最高を記録する見込み
ソニーグループは14日、2025年度(2026年3月期)の連結営業利益(国際会計基準)が、10月に分社化する金融事業を除いたベースで前期比0.3%増の1兆2800億円になるとの見通しを発表した。 3期連続で過去最高を更新した。同社の時価総額は、エンターテインメント業界の代名詞とも言える米国企業、ウォルト・ディズニーの時価総額に近づいている。日本のコンテンツ産業のグローバル展開をリードするソニーの存在感が高まっている。
継続事業ベースでは、ソニーグループの売上高は前期比3%減の11兆7000億円となる見込み。純利益は、前期に子会社を解散した影響で税負担が軽減され、その反動で2025年度には前期比13%減の9300億円となる見込みだ。2024年度(2025年3月期)にはゲーム、音楽、映画の3大エンターテインメント事業が売上高の67%、営業利益の70%を占め、好調な業績を支えている。
牽引役を担うゲーム事業の営業利益は、2025年度に16%増の4800億円と拡大する見通しだ。家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」で発売された人気ゲームの続編に加え、継続的な有料プランも好調を維持するとみられる。
トランプ政権の関税政策の影響はゲーム、家電、半導体などに集中し、ソニーグループの営業利益は1000億円減少する見通しだ。トランプ大統領は米国外で制作された映画に100%の関税を課すと述べているが、詳細がまだ明らかになっていないためソニーはこれを予測に含めていない。
さらに、米国の国内需要の弱まりにより娯楽支出が減少する可能性もあります。しかし、みずほ証券シニアアナリストの中根康雄氏は「ソニーグループが得意とするゲームや音楽、アニメなどは、一定の支払いコストでより多くの娯楽の時間と頻度が得られ、旅行や外食に比べてショックに強い」と指摘する。
ソニーは関税の影響にもかかわらず営業利益が引き続き堅調に推移し、最大2500億円の自社株買い計画も発表した。その結果、ソニーの株価は5月14日に4%上昇し、3,788円で取引を終えた。時価総額は23兆2954億円で、ディズニーの時価総額2002億ドル(5月13日時点の時価総額、約29兆円)とは約6兆円離れている。東洋証券のシニアアナリスト、安田英樹氏は「金融事業を除いてもソニーは増益基調を維持しており、市場に安心感を与えた」と見ている。
ディズニーが5月7日に発表した2025年1~3月期の決算報告は好調だった。最近株価が急上昇し、時価総額も回復した。しかし、ソニーグループは4月30日にその差を約1300億円まで縮めた。
逆転の鍵は、ソニーグループがコンテンツの知的財産権をゲーム、アニメ、映画、音楽、イベントなどあらゆる分野に拡大できるかどうかにある。
ソニーグループ社長兼CEOの十時裕樹氏は14日に開いた事業方針説明会で、「ボトムアップのシナジー効果が出始めており、そのスピードは加速している」と語り、エンタテインメント事業の統合に自信を示した。同氏は、ゲームを原作とした映画やテレビ番組が10本以上製作中であることを明かし、こうした取り組みを強化していくと述べた。
アメリカのアニメ配信大手クランチロールと、2021年に買収したアニメ制作子会社アニプレックスが、人気ゲーム主題歌「ゴースト・オブ・ツシマ」をアニメ化することが期待されている。 2027年の発売が予定されており、楽曲もソニーグループの音楽会社が制作する。
コンテンツ輸出は日本の新たな成長戦略の柱になりつつある。経済産業省の統計によると、日本のコンテンツ産業の輸出額は2023年に5.8兆円に達し、半導体の5.5兆円や鉄鋼の4.8兆円を上回り、自動車産業に次ぐ規模となる。
日本政府は2033年までに輸出額20兆円を達成するという目標を掲げており、ソニーグループに加え、商社も活発に活動している。伊藤忠商事は投資先を通じてアジアでアニメやキャラクターのライセンス事業を展開しており、住友商事も日本アニメの海外展開に乗り出している。
有力なコンテンツを得るためには、合併や買収を通じて関連企業を統合する必要があります。しかし、財務規律を維持しながら、資本基盤の大きい海外企業と競争するのは容易ではありません。ソニーグループは、買収額などの条件をめぐる意見の相違から、米メディア大手パラマウント・グローバルの買収から撤退した。このような観点から、独立系事業者間の連携がますます重要になってきています。