ダイキンの2025年度純利益は過去最高を更新する見込み

ダイキン工業は5月8日、2025年度(2026年3月期)の連結純利益が前期比3%増の2720億円となり、過去最高になるとの見通しを発表した。データセンター用の空調設備が収益を押し上げるでしょう。ダイキンは、米トランプ政権が開始した関税措置が約470億円の利益減の主因とみられるが、価格転嫁や原材料の代替などで相殺する方針だ。

年間配当予想は創業100周年記念配当を実施した前期と同額の330円。

同社は売上高を2%増の4兆8400億円、営業利益を8%増の4350億円と計画している。いずれも5期連続で過去最高を更新した。米国を中心に、新たなデータセンターへの継続的な投資が好ましい傾向となっている。発熱するサーバーの冷却には空調が不可欠で、ダイキンは省エネ技術のノウハウで市場の需要を獲得する。

営業利益の具体的な構成を見ると、原材料価格の上昇が980億円の減益の主因となり、そのうちトランプ大統領の関税政策の影響は約470億円となる。一方、価格上昇による1020億円の利益増と、工場の稼働改善などのコスト削減策による650億円の利益増で、マイナス影響は相殺される。

特に懸念されるのは、2024年に生産開始が予定されているメキシコ工場で生産される家庭用・業務用大型エアコン「アプライド」だ。同工場で生産されるエアコンは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の条件を満たしており、現時点で影響はない。

関税は主に米国とメキシコの工場で生産されるエアコン部品に影響を及ぼす。対象となるのは、中国やアジア諸国から輸入された住宅用エアコン部品。数量的には少ないものの、日本の技術を採用した家庭用エアコンや一部のアプライド製品は完成品をアジアから輸出する必要があるため、一定の影響を受けると予想される。

ダイキンの竹中直文社長は同日、大阪本社で開いた決算会見で、トランプ大統領の関税について「間接的な影響は現時点では予測できないが、影響を最小限に抑えるよう柔軟な対応をしていく」と強調した。

トランプ大統領の関税による先行き不透明感から、設備投資停滞への懸念は払拭できない。また、一回の受注額が数十億円に及ぶこともあるデータセンターや工場などで使われるアプライド製品の需要が減少するリスクもある。

米商務省によると、3月の住宅着工戸数は季節調整済み年率で前月比11.4%減の132万4000戸となり、主に一戸建て住宅の減少が目立った。金利上昇と物価上昇も住宅需要を減少させており、住宅用エアコンの販売も減少する可能性がある。

成長市場と期待されていた欧州のヒートポンプ暖房市場は低迷が続いている。 2022年頃からの天然ガス価格の下落や欧州全域での環境政策の後退がマイナス要因となっている。