米国のコンテナ輸入は関税により30%減少
中国に対する関税強化の影響で、米国へのコンテナ輸入は減少に転じている。主要港のコンテナ輸入量は前年同期比で30%減少したと報告されている。それまで終電に間に合うように殺到していた米国行きの輸送需要が一気に縮小した。現在、中国と米国は追加関税を90日間引き下げることで合意しており、需要の急速な回復による物流網の混乱リスクも高まっている。
トランプ政権は4月10日に125%の関税引き上げを開始し、中国に対する累計関税引き上げは145%となった。大手コンテナ船会社は「5月以降、145%の関税が課せられる中国製品を積んだコンテナ船が米国に到着し始めている」と明らかにした。
アジアからの輸入コンテナ取扱量で米国最大の港であるロサンゼルス港は、5月4日から10日の週のコンテナ輸入量が前年同期比34.5%減少したことを明らかにした。コンテナ輸送会社は「米国側では関税の全影響は今後明らかになるだろう」と述べた。
高関税措置が始まって以来、海運業界では中国からの貨物の船積み予定が相次いでキャンセルされているとの報道が出ている。デンマークのコンテナ海運大手A.P.モラー・マースクグループは5月8日、4月の中国と米国間のコンテナ輸送量が前年同期比で30~40%減少したとの報告書を発表した。
5月下旬以降は、中国から遠い米国東海岸でも荷降ろし量の減少が顕著になると予想される。コンテナ貨物追跡サービスを手掛ける米国企業Vizionは、6月9日から15日の週に中国から米国に到着するコンテナの数が昨年の同時期に比べて60%減少すると予測している。
終電に間に合うように駆け込む混雑は、料金値上げ前日まで続いたとみられる。米調査会社デカルトの統計によると、アジアの主要10カ国・地域から米国へのコンテナ輸送量(到着ベース、20フィートコンテナ換算)は4月、前年同月比9.7%増の167万6706個となった。中国からの出荷が6.4%増加したほか、ベトナムやインドなどからの輸送量も増加した。特に家具や衣料品などの消費関連商品で増加が顕著でした。
米国は終電に乗って在庫を確保しなければならない状況から、余剰在庫を放出しなければならない状況に変わるだろう。日本郵船の原源太郎調査部長代理は「現在は在庫をまとめて販売するなど対応している。在庫がなくなる前に補充を始める予定で、このタイミングが次の転換点になる」と指摘した。
輸送需要が急激に減速する中でも、コンテナ船の即金(スポット)運賃は堅調に推移しました。上海海運取引所のデータによれば、4月30日現在、上海から米国西海岸までの運賃は40フィートコンテナ1個あたり2,272ドルだった。これは先週から131ドル(6%)の増加です。 3月中旬に1800ドル前後まで下落していた運賃は回復した。
日本郵船の原源太郎氏は「運航停止によるスペース供給の調整がプラスに働いている」と話した。貨物量が減少するにつれ、コンテナ船会社や大手海運会社が結成した連合は、米国への定期航路の一部をキャンセルしたり、小型船に切り替えたりすることで、利用可能な輸送能力を低下させている。南カリフォルニア海洋取引所のデータによると、ロサンゼルス港とロングビーチ港に向かうコンテナ船の数は4月中旬から減少している。
米中協議が進展する中、米国は14日、中国に対する追加関税を145%から30%に引き下げた。関税率が引き下げられると貨物輸送は回復し始めるだろうと信じる人もいる。減少した船舶供給が正常に戻るまでには時間がかかるため、貨物量が急増すればコンテナ船のスペース不足につながり、世界のコンテナ船輸送網に連鎖的な混乱が生じる可能性がある。