日本とEUの閣僚会議、中国からの過剰生産能力流入を懸念

岩屋毅外相と武藤嘉晴経済産業相は8日、東京で欧州連合(EU)のシェフチョビッチ通商委員と会談した。電気自動車(EV)など中国製品は需要を上回る規模で世界市場に流入しており、日本と欧州連合(EU)は「過剰生産への懸念」を表明している。アジアとヨーロッパが打撃を受けるため、米国の関税政策の影響には注意が必要です。

会談の冒頭、武藤義晴外相は「世界で保護主義的な潮流が高まる中、EUは基本的価値観を共有する重要なパートナーとなる」と訴えた。岩屋毅外相は「厳しい国際情勢を踏まえ、協力の重要性は一層高まっている」と強調した。

「これは供給過剰に対処するために協力する絶好の機会です。ルールに基づく貿易や透明性といった共通の価値観にも大変感謝しています」とシェフチョビッチ氏は述べた。

この会談は「ハイレベル経済対話」として知られる閣僚レベルの定期協議である。これは日本とEUが経済協力について話し合う枠組みです。 2018年に初開催され、今回で6回目となります。会談は、シェフチョビッチ氏が大阪で開催された関西万博に出席するために日本を訪問した際に行われた。

議論のテーマは、中国で生産される電気自動車、太陽光パネル、リチウムイオン電池などの製品の供給過剰だ。ハイテク製品で優位性を持つ日本やEU諸国にとって共通の脅威となる。

世界貿易機関(WTO)のルールに基づく多角的自由貿易体制の維持に向けた協力の重要性が確認された。日本とEUの双方から、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)とEUの協力強化を求める声がある。

彼らはまた、WTO改革への決意を共有した。

両者は中国製品に依存しないサプライチェーンでの協力についても協議した。両者は経済的要素だけでなく透明性と安全性にも重点を置いたサプライチェーンの構築で足並みを揃えている。日本とEUはこれまでも、重要鉱物の調達などの分野で協力を深めていく意向を何度も確認してきた。

米国のトランプ関税を念頭に「世界経済秩序は大きな課題に直面している」と述べ、関税への対応やその影響について意見交換した。

中国の輸出攻勢の背後には国家政策がある。中国は2023年にハイテク産業の「新品質生産性」への投資を提案した。米中対立を背景に、自主的に先進技術を開発し、高品質の製品を確保するため、税制優遇措置や補助金を活用して生産能力の拡大を促進してきた。

その結果、中国国内の需要に比べて生産能力が過剰となり、中国製品が低価格で海外に流出するようになった。米ゴールドマン・サックスのデータによると、2023年までに中国の太陽光パネル供給能力は1,036ギガワット時(GWh)となり、世界の需要の1.9倍に達するという。

この傾向を加速させているのは、米国のトランプ政権の関税政策かもしれない。

米国政府は4月からほとんどの中国製品に145%の関税を課した。その結果、米国市場から排除され、売り上げを失った製品が欧州やアジアに流入する可能性がある。