東洋経済新報社、創刊130周年を迎える 日本最古の経済誌が新たな挑戦

1895年の創刊以来、日本の経済ジャーナリズムを牽引してきた株式会社東洋経済新報社が、2025年11月に創立130周年を迎えた。日本最古の経済雑誌『週刊東洋経済』を擁する同社は、紙媒体からデジタル、データビジネスへと事業領域を拡大しながら、「健全なる経済社会の発展に貢献する」という創業の精神を130年にわたって継承し続けている。

明治の志、令和へ

東洋経済新報社の歴史は、1895年(明治28年)、経済雑誌『東洋経済新報』の創刊とともに始まった。創業者・町田忠治は創刊の趣旨として「健全なる経済社会の発展に貢献する」ことを掲げた。その精神は現在も脈々と受け継がれ、「権力に屈せず、実業者に寄り添い、常に公正で良質な情報発信」を使命としてきた。

同社の代表的な刊行物である『週刊東洋経済』は、日本の週刊誌の中で最も長い歴史を持ち、発行総数も日本一を誇る。英国の『エコノミスト』に次ぐ世界有数の歴史を有する経済誌としても知られている。毎号40〜50ページに及ぶ深掘り特集を掲載し、マクロ経済から企業・産業分析、医療・介護・教育まで幅広いテーマをカバーしている。

「投資のバイブル」が示す日本経済の現在地

同社が発行する『会社四季報』は1936年の創刊以来、毎年4回発行され続けてきた「株式投資のバイブル」として知られる。国内の証券取引所に上場する全3900社を取材し、業績予想から財務状況、株価チャート、所在地、従業員数まで、あらゆるデータを網羅している。

2025年6月に発売された『会社四季報夏号』では、全業種(金融除く)の今期(2025年4月期〜2026年3月期)予想営業利益が前期比3.0%の減益という厳しい見通しが示された。米国のトランプ関税の影響や円高、中国経済の減速に加え、各種コスト増が要因と分析されている。特に輸送用機器、鉄鋼、海運業の減益幅が大きく、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車などは軒並み大幅減益が予想されている。一方で、食料品や繊維製品、硝子・土石製品などは円高による仕入れコスト低下や値上げ効果で増益を見込んでいる。

130年の伝統をデジタルで進化させる

時代の変化とともに、東洋経済新報社も変革を続けている。2003年6月にはオンライン版『Toyo Keizai Online』をスタートさせ、デジタルメディアへの本格参入を果たした。現在では紙の雑誌や書籍に加え、デジタルマガジン、電子書籍、オンライン広告など多様なメディアで経済情報を発信している。

同社のデータビジネスも国際的に高い評価を得ている。特に上場企業に関する財務データや業績予測は、TOPIXなどの株価指数における浮動株比率の算定にも活用され、国内外の評価機関から信頼を集めている。

「みらい経済会議」で描く次の100年

創立130周年を機に、同社は「未来を拓くあなたの力に」というスローガンを掲げ、企業・投資家・地域社会・生活者などあらゆるステークホルダーの伴走支援者としての役割を改めて宣言した。

その一環として2026年3月には、「みらい経済会議〜ビジネスリーダーの羅針盤」を開催した。経営層や経営企画部門、DX推進部門など約3000名を対象に、「人生とビジネスの調和」「進化する技巧の未来」「誠実な経営表明」「健全な社会の考察」の4つのテーマで議論が交わされた。各分野のトップリーダーや経営者、有識者が登壇し、不確実性が高まる時代における企業の未来像を探った。

日本経済の羅針盤として

資本金1億円、本社を東京・日本橋本郷町に構える東洋経済新報社は、130年にわたって日本の経済ジャーナリズムをリードしてきた。『週刊東洋経済』『会社四季報』『一橋ビジネスレビュー』『Think!』など、多岐にわたる刊行物を展開し、年間100数十点の新刊書籍を世に送り出している。

経済・社会の不確実性がかつてなく高まる現代において、同社は「未来への羅針針」としての役割を自覚し、公正で良質な情報発信を続ける決意を新たにしている。紙からデジタルへ、日本から世界へ——130年の伝統を土台に、東洋経済新報社の挑戦は次の時代へと続いていく。

(了)