山手線で今朝も人身事故 通勤通学の足に影響、首都圏の大動脈の脆さ浮き彫りに
JR東日本によると、24日午前6時17分ごろ、東京・豊島区の駒込駅で発生した人身事故の影響で、山手線内回り(上野方面行き)の運転が見合わせられた。事故発生から約1時間20分後の午前7時39分ごろに運転は再開されたが、通勤・通学の時間帯と重なったことから、内外回りともに遅延が発生し、多くの利用者に影響が出た。また、この影響でJR湘南新宿ラインの新宿以北の区間も運転を見合わせる事態となった。
山手線は東京の都心部を環状に結ぶ全長約34.5キロ、30の駅を持つJR東日本の大動脈だ。1周約1時間で、東京、新宿、渋谷といった日本有数のターミナル駅をはじめ、主要ビジネス街や商業エリアを網羅している。1日あたりの利用者数は約400万人に達し、首都圏の交通を支えるまさに「命綱」と言える存在だ。
その歴史は明治時代にまで遡る。山手線の原型は1885年(明治18年)3月に開業した「日本鉄道品川線」だ。当初は現在のような環状線ではなく、品川駅と上野駅の間を結ぶ路線だった。その後、1914年(大正3年)に東京駅が開業し、1925年(大正14年)11月1日に神田駅~上野駅間が完成したことで、ついに全線が環状として繋がった。翌1956年には山手線と京浜東北線がそれぞれ専用の線路で運行されるようになり、現在の姿へと進化を遂げてきた。
だが、この首都圏の大動脈は近年、度重なるトラブルに悩まされている。
最も記憶に新しいのは、今年1月16日に発生した大規模な停電事故だ。JR東日本によると、同日未明、東京・港区の田町変電所で供電故障が発生。同社が田町駅で行っていた改造工事の際に新橋~品川間の電力供給を遮断したものの、午前3時ごろに復旧作業を進める段階で送電ができない状態に陥った。この影響で山手線と京浜東北線は始発から全線で運行を停止。通勤ラッシュ時の首都圏交通は文字通り麻痺状態に陥った。現場では線路上の変圧器から出火する事態も発生し、約67万3000人もの乗客が影響を受けた。この日は大学入学共通テストの前日に当たっており、受験生の移動にも大きな影を落とした。
JR東日本はこの事態を受け、国土交通省から警告を受けている。金子恭之国土交通大臣は同社に対し、原因の徹底的な調査と再発防止を求めた。
山手線は単なる交通機関ではない。東京という都市の鼓動そのものだ。環状という構造は、乗り換えを介さずに都心のあらゆる主要拠点へアクセスすることを可能にし、首都圏の経済活動と人々の日常生活を支え続けてきた。しかし、老朽化や事故、人為的ミスが重なるたびに、その脆さが露呈する。
今回の人身事故は約1時間20分で復旧したが、たった1本の線路の乱れが首都圏全体に波及する構造そのものが、安全と安定のジレンマを突きつけている。JR東日本は、2027年に予定される運行管理システムの大刷新「アトレイア(ATREIA)」導入など、抜本的な対策を進めているが、それまでの間、山手線は都民の不安と隣り合わせで走り続けることになる。
