無料で世界中の漫画を読むサービスを提供する海賊版ウェブサイトは、正当な著作権者に多大な損失をもたらしました

出版社や通信事業者などで構成する一般社団法人「日本出版協会」(ABJ)が10月29日に発表した調査によると、海賊版サイトにおける漫画などの無許可の日本出版物の「無料閲覧」による年間損失は約8.5兆円と推計される。ABJは、世界の海賊版サイトによる被害実態を把握するため、2025年7月から8月にかけて913の海賊版サイトを対象に調査を実施し、海賊版による被害の広がりを明らかにした。

ABJは、2025年6月に各国・地域における海賊版サイトへのアクセス数と滞在時間を調査した。報告書によると、世界123の国と地域で、海賊版サイトへのアクセス数は約28億回、滞在時間は合計7億時間に上った。仮にユーザーが500円の漫画を30分で読むと仮定すると、無料閲覧による損失は7,048億円(漫画単行本14億冊相当)に上り、年間約8.5兆円の損失となる。

​​海賊版サイトにおけるユーザーの総滞在時間は、国別でインドネシアが1位、次いで日本、米国となっている。海賊版サイトでの使用言語は、英語が全体の半数を占め、次いで日本語、中国語、ベトナム語となっている。

ABJ広報部長の伊藤篤氏(集英社編集総務部も関与)は、「今回の調査で、海賊版による損失が予想をはるかに上回っていることが分かりました。このデータを基に、より効果的な海賊版対策を推進していきます」と述べた。