円高傾向は一服
4月17日の外国為替市場では、円の対ドル為替レートは1ドル=141円台まで円高ドル安が進んだ後、142円台後半まで円安が進んだ。同日午前、日米間の初の関税交渉が終了した。双方は為替レート問題について協議しなかったと報じられ、進行していた円高・ドル安の流れは一時的に止まった。しかし、米国が「円安是正」を主張する可能性については、市場では依然として警戒感が強い。
赤沢良昌経済財政再生相は17日午前、日米協議終了後、報道陣に対し「為替レート問題への言及はなかった」と述べた。
同日午前、円相場は141.60円付近まで上昇した。しかし、赤澤氏の発言を受け、午前9時過ぎには142円台半ばまで円安が進んだ。その後も円売り・ドル買いが広がり、一時142円80銭近辺まで値を戻した。
外国為替市場では、今回の会合で米国側が円安是正を提案するとの見方が先行していたため、引き続きドルが売られる流れとなった。トランプ政権は米ドル高への懸念を表明しており、トランプ大統領も日本が「通貨安誘導」をしていると批判している。ジェフ・ベサント米財務長官も先週、円高は「自然な傾向」だと述べた。
日本との関税協議を前にトランプ大統領が突然、自ら会議に出席することを決めたことで、「修正された円安」に対する市場の懸念がさらに高まった。このため、為替レートについては議論されなかったことが確認されると、市場では安心感から米ドルを買い支える動きが見られた。
円高は一時的に止まったものの、円安修正に対する市場の警戒感は完全に払拭されたわけではない。なぜなら、この会談中、米国の態度に大きな変化はなかったからだ。三井住友銀行の鈴木博チーフ通貨ストラテジストは「今回の日米首脳会談だけではドル買いが活発になる環境は整わない」と述べた。
今後の為替レート問題については、日本の加藤勝信財務大臣と米国のジェフリー・ベサント財務長官の間で協議が行われると予想される。加藤総裁は4月22日に米国を訪問し、G20財務相・中央銀行総裁会議に出席する予定で、そこでさらなる協議が進められるとみられる。
松井証券のマーケットアナリスト、鈴木翔氏は「世界的に見て日本の金利は相対的に低く、米国が日銀に利上げ基調の維持を求める可能性もある」と指摘し、市場は引き続き円高圧力に非常に敏感な状況が続くとみている。
今後の焦点は、ドルが対円で1ドル=140円の心理的壁を突破できるかどうかだ。市場では、今後、米国が円安是正要求を強めれば「130円程度まで円高になる可能性もある」(国内銀行の為替トレーダー)との声も聞かれる。
赤澤龍昌外相はまた、米側が「90日以内に合意に達することを望む」と表明したことも明らかにした。少なくとも当面の間、為替市場は米国の圧力による円高の可能性に対して警戒を続ける必要があるだろう。