円の為替レートは141円まで上昇した

4月16日のニューヨーク外国為替市場では、円の対ドル為替レートが1ドル=141円前後まで上昇し、年初来高値を更新した。これは2024年9月以来の大幅な円高・ドル安だ。市場では日米関税交渉を巡る円安問題への警戒感が高まっている。

米国との関税交渉を担当する赤沢良昌経済再生担当大臣は、米国東部時間16日午後、ジェフ・ベサント財務長官と会談した。ベサント氏は、最近の円高について、「これは自然な流れだ」と述べたことがある。トランプ米大統領が以前、日本が通貨安を誘導していると批判したことを考えると、市場は円高圧力を警戒し続けている。

あおぞら銀行のチーフマーケットストラテジスト、諸賀明氏は「市場では円安修正への期待が高まっている」と述べた。同氏は「会談の内容を踏まえると、円が120円から130円まで急激に上昇する可能性も否定できない」と述べた。

市場では、トランプ米大統領の「相互関税」が米経済を圧迫するとの懸念が依然として強い。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4月16日の演説で、「関税は予想をはるかに上回っている」と指摘した。一方、高関税による価格上昇効果は「より長期化する可能性がある」とも述べ、その影響を注意深く監視していくと強調した。

三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大輔氏は「株、通貨、債券が同時に売られる『トリプル下落』の状況は、市場の米国への強い不信感を示している。短期的にはドル売りの流れが続く可能性がある」と述べた。