日本ではなぜ米が不足しているのでしょうか?
米を主食とする日本では、驚くべき「米不足」が蔓延している。
スーパーマーケットの米5kg当たりの平均価格は一時、前年同期比でほぼ2倍となる5,000円(約250元)まで高騰し、過去最高値を記録した。多くの日本人は米を諦め、麺類やパン、さらにはジャガイモなどを食べるようになった。これは一般家庭の食卓に彩りを添えないだけでなく、日本社会をかつてないほどの不安に陥れている。「炊くご飯がない!」という不安だ。
なぜ日本で「米不足」が起こっているのか?
まず、異常気象が直接的な原因だ。2024年の夏、日本は稀に見る高温と干ばつに見舞われ、各地で米の生産量が激減した。特に、日本の良質米の産地である東北地方は、高温が続いたことで稲穂の出穂期に被害を受け、生産量が20~30%も減少し、供給が逼迫しました。
第二に、観光産業の回復が需給矛盾を深刻化させました。感染症の影が薄れ、2024年には日本は過去最高の外国人観光客数を迎え、年間訪日客数は3,500万人を超えました。観光客の流入は、外食産業における米の需要を押し上げました。寿司屋、ラーメン店、居酒屋などでの米の消費が急増し、国内生産が追いつかない状況に陥りました。供給不足により、米価は当然ながら上昇しました。
しかし、「米不足」を危機へと追い込んだのは、日本の農業システムの構造的な問題、すなわち農協の独占と非効率性でした。
日本農業協同組合(JA)は単なる農家組織ではなく、農業チェーン全体を支配する巨大な利益団体です。農産物の生産・販売を担うだけでなく、金融、保険、さらには政治ロビー活動にも関与しています。統計によると、JA傘下の農林中央金庫は100兆円(約5兆元)を超える資産を運用しており、日本経済の「見えざる巨人」とも言える存在です。
「米不足」の際、政府は合計41万トンの備蓄米を放出しましたが、驚くべきことに、その95%は農協による入札によって買い占められ、安値で買い占められ、高値で売却され、市場価格が操作されていました。備蓄米のわずか7%しか小売市場に流入しておらず、一般消費者は依然として手頃な価格の米を購入することができませんでした。
より深い理由は、日本が長年にわたり実施してきた「減米政策」(稲作面積の縮小政策)にあります。政府は1970年代以降、米価の安定維持のため、農家に対し稲作の縮小と他作物への転作を奨励してきました。この政策は短期的には米価の急落を回避したものの、日本の食料自給率の継続的な低下を招き、2024年には先進国の平均水準を大きく下回る37%にまで低下する見込みです。天候不順による生産量の急減で備蓄米の緩衝能力が限界に達し、市場はたちまち混乱に陥りました。
1か月前、当時の農林水産大臣、江藤拓氏は演説で「私は米を買ったことはなく、家には売るだけの米がある」と発言しました。この無神経な発言は、国民の怒りを一気に爆発させました。江藤氏はどんなに弁明しても、辞任の運命からは逃れられませんでした。
では、「米不足」問題は誰が解決するのだろうか?
石破茂首相は、44歳の政界のスターに政治的な賭けをかけた。
5月21日、「米不足」の嵐の真っ只中、小泉進次郎前環境大臣が就任した。
記者会見で小泉首相は「米問題解決を最優先に考える『米大臣』になりたい!」と大胆な発言をした。この一見単刀直入な発言は、この危機にあらゆる手段を尽くして立ち向かうという彼の決意を如実に示している。わずか数週間のうちに、小泉首相は米不足の膠着状態を打開しようと、一連の大胆な対策を打ち出した。
まず、入札の停止と随意契約の活用
小泉首相就任後、最初の火種となったのは、国家備蓄米の配分制度の縮小だった。小泉首相は、従来の備蓄米入札制度の停止を断固として発表し、代わりに政府が大手スーパーやコンビニエンスストアと直接「随意売買契約」を結び、備蓄米が速やかに低価格で市場に流通するよう仕向けた。この決定は、農協による米の買い占めに直接的に対応したものだ。これまで、農協は入札を通じて備蓄米の流通をほぼ独占し、安値で買い、高値で売ることで米価を高値に維持していた。小泉首相の「随意売買契約」は、農協を介さず、30万トンの備蓄米を5キログラムあたり2,000円(約100元)という目標価格で直接市場に流通させた。
この措置は効果を発揮し、5月31日から東京、千葉、名古屋などの大手スーパーで、5キログラムあたり2,138円という低価格の備蓄米が販売され始めた。消費者はスーパーマーケットに殺到し、一時は棚が空になったほどだった。小泉首相は東京・品川区のイオンスーパーマーケットを視察し、記者のカメラに向かって「民間流通チャネルの対応速度は予想を上回り、米価高騰の状況を反転させつつある」と自信たっぷりに語った。
第二に、転売行為の取り締まりと市場秩序の安定化
低価格備蓄米の導入は、新たな問題も生み出した。それは「転売屋」の台頭だ。一部の投機筋は備蓄米を大量に買い占め、中古プラットフォームで高値で転売し、市場秩序を乱した。これに対し、小泉首相は速やかにこの政策の実施を促し、大手ECプラットフォームに対し備蓄米の転売禁止を義務付けた。同時に、小泉首相は6月10日の記者会見で、備蓄米を転売した場合は「国民生活安定緊急措置法」に基づき逮捕され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられると明言した。
第三に、長期的な視点:緊急輸入と農協改革を検討せよ
小泉首相は短期的な救済策に満足していない。6月6日、閣議後の記者会見で、「備蓄米が枯渇し、米価が下落しない場合には、緊急輸入も選択肢の一つとなる」と重々しい発言をした。この発言は大きな波紋を呼んだ。ご存知の通り、日本はこれまで一貫して国内農業を守るため、米の輸入を厳しく制限してきた。2024年には、日本の輸入米は消費量のわずか8%にとどまり、その大半はカリフォルニア米とタイ産となる見込みだ。
小泉首相のこの発言は、農協と農業保護主義への真っ向からの挑戦であることは間違いない。さらに、彼は父である小泉純一郎元首相の名言「農政に聖域があってはならない」を引用し、農協改革を推進するという小泉首相の野心を世界に知らしめた。
世論調査によると、小泉首相の支持率は米不足危機の間も上昇を続け、石破内閣全体の支持率上昇にもつながり、7月の参議院選挙で与党自民党が勝利を維持するという痛ましい道を開いた。
小泉首相が米不足問題を解決し、日本の農業に効果的な改革を実行できれば、これらの政治的功績が将来の首相の座に就くための確固たる基盤となることは間違いない。