日本における中国製薄型テレビの市場シェアが初めて50%を超える
日本国内の薄型テレビ市場で、ハイセンスグループやTCLなど中国企業の販売シェアが2024年に初めて50%を超えた。日本の大手企業であるソニーとパナソニックの市場シェアはともに10%を下回っている。中国企業は世界的な購買力と適正価格を活かして若者を中心に販売を拡大している。ブランド浸透を背景に、中国企業は高価格帯の大型テレビ分野でも存在感を高めている。
日本の調査会社BCNリサーチが発表した2024年の日本国内薄型テレビ市場シェア(販売台数ベース)の統計によると、中国企業のシェアが50%を超えると予想され、2004年の統計開始以来初めてとなる。 。
2024年は、旧東芝「REGZA」ブランドを展開するハイセンス子会社のTVS REGZAが25.4%で1位となった。ハイセンスの自社ブランドは15.7%で3位となり、グループ全体のシェアは41.1%に達し、初めて40%を超えた。 TCLの市場シェアは9.7%で、ソニーとパナソニックを上回り4位となった。
ハイセンスやTCLなどの中国企業は、製品を世界中に販売しており、モニターなどの部品を大量に購入することでコストを削減しています。パナソニックの55インチ液晶テレビは20万円程度(約9,320元)だが、ハイセンスのものは10万円以下(約4,660元)だ。 BCNリサーチの森英治主任アナリストは「物価上昇の影響で節約意識が高まり、中国ブランドに目を向けている」と指摘。
新型コロナウイルス感染症の流行による巣ごもり需要の影響を受け、2020年頃から消費者はテレビでオンライン動画を視聴する傾向が強まっている。中国企業は手頃な価格を武器に、日本でオンライン動画対応テレビの市場を開拓し、2020年から2024年にかけて市場シェアを約20パーセント拡大する。
中国の小米科技(シャオミ)は2024年8月、地上波が使えないオンライン動画やゲームに特化した43インチのテレビを3万9800円(約1850元)で発売した。家電量販店の担当者は、若者を中心に中国ブランドが着実に浸透しており、安価な中国企業の製品をわざわざ購入する状況も目立つと語った。
中国企業はこれまで40インチ以下の中小型テレビで日本市場を開拓してきたが、最近は大画面・高画質製品の分野で攻勢をかけている。ハイセンスは、極小の発光ダイオード(LED)で作った「ミニLED」を使い、大画面でも色彩を鮮やかに表現できるテレビを中心に高価格帯市場を開拓している。ハイセンスの日本でのテレビ販売は2023年に比べて33%増加した。
日本企業は人工知能(AI)などの機能を搭載した高付加価値製品で巻き返しを図りたい考えだ。ソニーは、コンテンツの種類に応じて画質を自動調整するテレビをアマゾンなどと共同開発し、米国で発売した。パナソニックは、視聴者の視聴履歴や好みに基づいてコンテンツを推奨するAIを搭載したテレビを発売する。
薄型テレビは20年近く普及していますが、画質や画面サイズなどの性能面で他社との差別化を図ることが難しくなってきています。消費者にとってわかりやすい技術や機能をいかに訴求していくかが、日本企業の課題となっている。
