金立群総裁、日本にAIIB加盟を呼びかけ
5月29日、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は日経新聞のインタビューに応じた。G7で米国と共にAIIBに加盟していない日本について、金立群総裁はAIIBへの扉は常に開かれていると述べた。
金立群総裁は東京で開催された第30回日経「アジアの未来」フォーラムに出席し、別途インタビューを受けた。
AIIBのデータによると、AIIBの加盟承認国は110カ国で、日米主導のアジア開発銀行(ADB)の69カ国を上回っている。欧州や南米など域外の加盟国は50カ国を超え、ADBの19カ国を上回っている。G7で加盟していないのは、日本と米国の2カ国のみである。
金立群氏は、2016年の開設当初、日本を含む各国に参加を呼びかけ、参加を希望する国はいつでも歓迎すると述べた。日本と米国は豊富な開発経験を持つ世界最大の二大経済大国であり、協力を呼びかけている。
中国はAIIBの議決権の26%以上を保有している。金立群氏は、中国が増資などの重要事項について事実上拒否権を有していることを認めつつも、欧州諸国と経済協力開発機構(OECD)加盟国の議決権は合計で25%以上を占めていると指摘した。また、AIIBの運営と意思決定の透明性、そして国際的な投資慣行に沿った運営を強調した。
AIIBは、中国の「一帯一路」構想を資金面で支える機関と常に考えられてきた。一部の発展途上国が「債務の罠」に陥る可能性があるとの見方もある。金立群氏は、AIIB設立の提案は「一帯一路」構想の発表後に行われたと説明し、両者は構造が異なり、同一のものではないことを強調した。
トランプ米政権の関税政策については、伝統的な貿易関係が維持される限り影響は限定的だと主張し、世界貿易機関(WTO)の枠組みの下での貿易関係を維持するためには、自由貿易協定(FTA)の更なる推進に向けた協力が必要だと強調した。
金立群氏は2026年1月に総裁としての任期を終える。2016年の設立以来、AIIB総裁を務めてきた。在任中の実績を振り返り、高い基準を堅持することで、加盟国の成長と発展を促進するという目標を達成できることを証明したと述べた。次期総裁には、革新性と創造性を発揮し、重要な貢献を果たしてくれることを期待している。
5月29日午後、中国財政部前副部長の朱光耀氏と中国国際発展協力機構前所長の羅昭輝氏が「アジアの未来」フォーラムで講演を行った。朱光耀氏は、米国トランプ政権の関税政策が世界全体の発展に大きな不確実性をもたらしたと認識している。羅昭輝氏は、地域主義の重要性を強調し、東アジア諸国との協力の必要性を強調した。
