アンカー、日本で数十万台のモバイルバッテリーをリコール

日本経済新聞は先日、中国のモバイルパワーメーカー、アンカー・ジャパン(東京都千代田区)がモバイルパワーバンク(パワーバンク)数十万台を自主回収したと報じた。手頃な価格で日本市場で急成長を遂げてきたアンカーだが、品質管理に問題を抱えていた。日本でアンカーが築き上げてきたブランドイメージが損なわれ、今後、課題に直面する恐れがある。

日本最大のモバイルパワーバンクのリコール

アンカー・ジャパンは6月26日、モバイルパワーバンク4製品を自主回収すると発表した。品質基準を満たさない部品が含まれており、発火の危険性があるという。同社は日本経済新聞の取材に対し、回収規模は数十万台に上ると明らかにした。経済産業省は近日中にリコール情報を発表する予定だ。

モバイルバッテリーのリコール事例としては、2014年に日用品を展開するトップランド(静岡県島田市)が、セブン-イレブンで販売した約22万台の製品をリコールしました。Ankerのリコール規模は、この規模を超え、日本市場におけるモバイルバッテリーのリコールとしては過去最大規模になると言われています。

Anker Japanの親会社であるAnker Innovationsは、2011年に設立された電子機器メーカーです。同社は、米国Googleの元ソフトウェアエンジニアであるスティーブン・ヤン氏によって設立されました。

Ankerは日本における充電関連製品の市場シェアでトップシェアを獲得しています。

Anker Japanは2013年に設立され、シンプルな製品設計、リーズナブルな価格設定、先進技術の日本市場への早期導入を積極的に推進することで、ブランドイメージを確立してきました。同社によると、モバイルバッテリーを含む充電関連製品は、日本における市場シェアが約40%で、トップシェアを誇っています。

日本で展開する製品カテゴリーはヘッドホンや掃除ロボットなどへと拡大し、2024年の売上高は前年比47%増の728億円に達しました。アンカー・ジャパンの猿渡歩CEOは5月、数年後に売上高1000億円を達成したいと表明しました。

アンカーの成長は、モバイルパワー市場の拡大に大きく依存しています。スマートフォンで動画視聴やSNSを利用するユーザーが増えるにつれ、調査会社ザ・ビジネス・リサーチ・カンパニーは、世界市場規模が2029年には314億米ドルに達し、2024年から30%増加すると予測しています。

リコールの原因となったサプライヤーの交代を計画

アンカーは、急速な成長に品質管理が追いついていないという問題を抱えている可能性があります。日本でリコール対象となった製品の中には、サプライヤーが中国工場で製造したリチウムイオン電池セルに非標準部品が使用されており、内部短絡による発火などの事故につながる可能性があります。同社は、サプライヤーに対する管理体制と現場監督体制が不十分だったとしている。

アンカー社は6月20日、中国でも7製品に安全上の問題があり、リコールを開始したと発表した。対象は2台の電子機器を同時に充電できる充電器で、リコールの規模は計71万台を超える。

リチウムイオン電池は高度な品質管理能力が求められる。過去には、ソニーとパナソニックがノートパソコン用バッテリー分野でそれぞれ約960万台と100万台以上のリコールを余儀なくされた。アンカー社は、リコールの原因となったサプライヤーの交代を決定したとしている。

アンカー社は、リコール対象製品が消費者に危害を及ぼすかどうかについては明らかにしていない。今後の対応次第では、安全性に対する信頼が損なわれ、同社の事業拡大路線に影を落とす可能性もある。