日本最大のサーモン養殖業者の生産量は5年間で3.4倍に増加
日本では、回転寿司で最も人気のあるネタは養殖サーモンです。日本の消費量の約85%はノルウェーなどからの輸入に依存しているが、近年は国内の養殖産業も盛んになってきている。成長戦略について、日本経済新聞は国内最大手のサケ養殖会社、ジャパンサーモンファーム(青森県福良町)の岡村恒一会長にインタビューした。
記者:御社は青森県で大規模なサケ養殖を手掛けていますね。
岡村恒一:2015年に北欧のグループ子会社から技術を導入し、日本で最も早く大規模飼育を始めました。現場の作業員の熟練度が上がると、1匹あたり2.5~3.5キロの魚を効率的かつ安定的に養殖できるようになる。日本は、世界的な需要の高まりと経験から得た自信に後押しされ、国内の養殖生産量を2025年度(2025年6月末)の3,500トン(予測)から2030年度には12,000トンに増加させる予定です。
青森県沿岸では、各漁業協同組合から地域漁業権を取得し、1万5000トンの魚の養殖が可能となっている。グループ全体では今後6年間で190億円を投じ、卵から稚魚までの中間育成場を増設する。飼育スタッフも倍増の80名となり、地域の活性化に貢献していきたいと考えています。
記者:世界のサケの需給状況はどうなっていますか?
岡村恒和:年間生産量は約300万トンです。主な生産地はヨーロッパとチリです。農場はフル稼働しており、過去5年間の生産量は毎年わずか1~2%しか増加していない。一方、需要は年間7%増加しており、量で言えば年間20万トン増加していると考えられます。国内での飼育を拡大し、需要と供給のギャップを縮めていきます。
サーモンの人気を牽引しているのは寿司です。アジアでも、日本の回転寿司店で提供される寿司の品質は日本に劣らず、長い行列ができることも少なくありません。ベトナムとミャンマーに寿司原料加工工場を設立。当社グループの海外卸売事業の売上高は、2030年度には250億円となり、2025年度の予想の2倍となる見込みです。
記者:2030年の日本国内市場をどう予測しますか?
岡村恒和:日本国内における刺身用の生鮭の消費量は約7万トン。 5年前には10万トンに達したとみられていたが、世界的な需要増や航空運賃の高騰により輸入価格が上昇し、消費量は減少した。価格次第ではありますが、今後も横ばいから微減に推移すると予想されます。
天然魚の漁獲量が減少するにつれ、鮮魚店や寿司店での鮭の割合は増加する可能性がある。先日、回転寿司のメニューを見ていたら、炙りや大トロなどサーモン寿司だけで20種類もあることに気が付きました。
記者:日本の養殖業の生産量は減少しています。
岡村常一:話題は2つあります。一つは稚魚の安定供給です。完全養殖サーモンは、成長の可能性が非常に高い稚魚を計画的に獲得することを可能にします。一方、日本の主な養殖水産物であるブリ、ウナギ、マグロは天然の稚魚への依存度が高く、計画を立てるのが難しい。
もう一つは企業の参加です。養殖業は設備投資額が大きく、規模を追求しなければ儲からない。食料安全保障や自給率の向上を目的に畜産業の活性化を本気で考えるならば、民間の資金や意見が役に立つと考えます。
記者:外国投資や国境を越えた企業による陸上サーモン養殖への投資が増加しています。
岡村恒和氏:これは脅しではありません。当社は陸上の中間養殖場で稚魚を育て、最後の6か月間は海洋養殖水槽で育てる半陸上養殖を行っています。土地は環境の変化の影響を受けにくいですが、光熱費や特有の臭いが販売の障害となる場合があります。驚くべきことに、海に放たれた後、魚の鱗は銀色に変わり、体は鮮やかな色になり、太ります。おいしいサーモンを安定的に供給することが私たちの唯一かつ最大の目標です。
