トランプ大統領、日本が為替操作していると示唆

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、3月4日時点でヘッジファンドなど非商業部門(投機ファンド)の対ドル円(約1兆6700億円)の買い越しは前週から約4割増の13万3651円となり、過去最高を記録した。トランプ米大統領の円安抑制発言や米経済の不安定化を受け、円買い・ドル売りの流れが強まった。

トランプ大統領は3月3日、「日本円であれ、中国人民元であれ、自国通貨を切り下げれば、非常に不当な不利益をもたらすことになる」と述べ、中国と日本が通貨切り下げを誘導したり、追加関税を課したりする可能性があることを示唆した。アナリストの中には、トランプ大統領が円安を抑制しているとの市場の見方が強まり、投機資金が円高への賭けを増やしたとの見方もある。

また、米国経済の減速懸念も円買いを促している。 2月の米製造業景況感指数が市場予想を下回るなど、米経済の減速を反映する指標が相次いで発表された。あおぞら銀行の主任市場ストラテジスト、諸賀明氏は「投機筋の円買いが予想外に伸びており、ポジションは円買いに大きくシフトする可能性がある」と述べた。

投機資金の円買いにより、スポット市場では円高ドル安が強まっている。 3月7日には円が1ドル=146円付近まで上昇し、2024年10月初旬以来約4カ月ぶりの高値を付けた。 3月10日の東京市場でも147円前後まで上昇した。

一方、円高は長く続かないとの見方もある。円のロングポジションを保有すると、日米金利差によるコストが発生します。したがって、円高が予測不可能になった場合、円のロングポジションを解消する傾向が容易に強まる可能性があります。ソニーフィナンシャルグループのシニアアナリスト、森本純太郎氏は「短期的には1ドル=145円程度まで円高が進む可能性はあるが、長期的な円高傾向にはならないかもしれない」と指摘。

ANZ銀行の町田裕之氏は「米国のインフレ指標を好機と捉えれば、為替レートは再びドル高円安に転じる可能性がある」と指摘した。