米ドルに最も依存している10カ国
米ドルが弱まり始めており、多くの人々が注目しています。これは、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを検討し、米国債務が増加を続け、外貨準備としてドルを保有することに関心を示す国が減少する中で起きています。
Forex Complexによる最近の調査では、この潜在的な下落に対する各国のエクスポージャーに基づいてランキングが付けられています。
この分析では、4つの主要な要素を評価しています。各国の輸出入における米国関連の割合、ドル建て債務の割合、そして2020年から2025年にかけての自国通貨とドルの連動性です。
これらの指標を組み合わせて各国の総合スコアを作成し、最もリスクの高い国を浮き彫りにしています。
メキシコは98.99で1位となり、米ドル下落の影響が最も大きいことを示しています。
メキシコの輸入のほぼ半分は米国からのものであり、輸出の70%以上は米国向けで、リストの中で最も高い割合となっています。韓国の米ドル建て債務はGDPの24.40%と、他国に比べて低いものの、貿易への依存度が高いため、ドルの変動に対して経済は特に敏感です。
韓国は94.74点で2位です。メキシコとは異なり、韓国の対米貿易は輸入の9.68%、輸出の3.28%と小規模です。しかし、韓国のリスク要因は債務です。GDPの134.60%が米ドル建てで、これは本調査で最も高い割合です。これは、金融リスクだけでも大きな脆弱性につながることを示しています。
インドネシアは、ドル安の影響を最も受けやすい国の中で、90.95点で3位につけています。インドネシアの通貨は長らくドルにペッグされているため、柔軟性が制限されています。米国との貿易や借入への依存度は高くないものの、固定為替レートと多額のドル建て債務を抱えていることから、依然としてリスクにさらされています。
コロンビアは73.75点で4位です。アルゼンチンは、インドネシアよりも強い米国との貿易関係と、債務の約30%がドル建てであることなど、様々なリスクを抱えています。そのため、貿易面と金融面の両方で脆弱です。
香港は72.37点で僅差で続いています。米国との貿易はわずかですが、経済の110%以上が米ドル建て債務に結びついています。韓国と同様に、主なリスクは貿易ではなく金融面にあります。
アルゼンチンは57.29点で6位にランクインしましたが、これは主に米ドル建て債務の割合が約60%と高く、調査対象国の中で最も高い水準にあることが原因です。米国との貿易は比較的低いものの、多額の債務負担は依然としてドル安のリスクに晒されます。
ペルーは46.96点で中位に位置しています。 GDPの約38.90%はドル建て債務で、米国との貿易は輸入の18.62%、輸出の12.64%を占めています。アルゼンチンの債務水準よりは低いものの、ペルーは米国との幅広い貿易関係がリスク要因となっています。
南アフリカは39.96点で8位です。米国との貿易エクスポージャーは限定的で、輸入の8.88%、輸出の14.47%を占めています。米国との貿易への依存度は低いものの、経済の約3分の1はペルーと同様にドル建て債務です。
チリは36.24点でこれに続き、ドル安による損失リスクが高くなります。マレーシアは米国との貿易シェアが輸入の16.63%、輸出の16.10%と均衡していますが、ドル建て債務はGDPの16.20%と比較的低く、他の国と比べて脆弱性は低いです。
マレーシアは34.42ポイントでトップ10入りを果たしました。輸出の約19%を米国に輸出し、輸入の約9%を米国から得ています。債務の約29%は米ドル建てであり、上位国に比べてリスクが低いにもかかわらず、この組み合わせがマレーシアを上位に押し上げています。
The Forex Complexの広報担当者は、「世界的な米ドルへの依存度は高いものの、その程度は不均一です。貿易によって結びついている経済もあれば、債務や通貨制度といった金融システムによって結びついている経済もあります。リスクを重大にしているのは、その結びつき自体だけでなく、その結びつきがいかに集中しているかです。経済の大部分が単一の外貨に依存している場合、その通貨価値のわずかな変動でさえ、広範囲にわたる影響を引き起こす可能性があります。」と述べています。